開発者 | 天谷 大輔(あまや だいすけ)/ Pixel(日本) |
開発スタジオ | 開発室Pixel |
ジャンル | メトロイドヴァニア |
プラットフォーム | PC |
開発ツール | 自作ツール(C++) |
初期リリース日 | 2004年12月 |
開発期間 | 5年 |
セールススコア | 142,638 pt(計算方法) |
その他 | 公式サイト Studio Pixel http://studiopixel.sakura.ne.jp/ Steam(リメイク版の『Cave Story+』) https://store.steampowered.com/app/200900/Cave_Story/ |
洞窟物語とは
洞窟物語は2004年にWindows対応のフリーゲームとしてリリースされたPCゲーム。現在でいうメトロイドヴァニア系の2Dアクションで、開発室PixelのPixel氏こと、天谷 大輔(あまや だいすけ)氏によって個人開発された。
・探索要素と横スクロール2Dアクション
・味のあるドット絵、奥深いストーリー
・インディーゲームの先駆けとなった
当時の個人開発かつフリーゲームの中でも非常に高い完成度で、いまでこそインディーゲームとしては一般的な手法になった、あえてファミコン風のドット絵で表現したグラフィックや耳に残るピコピコサウンドがレトロで懐かしいと評判になった。
アクションゲームでありながら武器の種類が豊富かつレベルアップする(ただしダメージを受けるとレベルダウンする)というRPG的な要素や、プレイヤーの行動によって変化するストーリー展開、マルチエンディングを採用しているというのも当時では(全くなかったわけではないが)珍しかった。
もちろん今でも通用するシンプルながらも手ごたえがあるゲーム性、独特の世界観やストーリー、キャラクターなど含めて、多くのPCゲーマーに評価され人気になったのも納得の魅力的なゲームとなっている。
洞窟物語がヒットした理由を分析
洞窟物語がヒットした理由は、当時では珍しくなっていたファミコン風のグラフィックで2004年にフリーソフトとしてリリースしたという時代的な背景とタイミング、5年もの開発期間をかけた個人開発として非常に高い完成度であったことが主な理由として考えられる。
・個人開発として高い完成度
・味わい深いドット絵、サウンド
・探索を通じ徐々に明かされるストーリー
・多彩な武器を駆使するアクション
・分岐するシナリオとエンディング
洞窟物語がヒットしたのは、その完成度の高さにあることは間違いないが、さらにまた、時代的な背景とタイミングもあるのかもしれない。
洞窟物語がリリースされた2004年はPS2の全盛期で、スクエニのドラクエ8やカプコンのモンスターハンター(初代)が発売された年でもある。特に、古典的ないわゆる見下ろし型の2Dドット絵が特徴だったドラクエがついに初めてフル3Dを採用し、キャラクターが八頭身になったのは象徴的だった。ドット絵が当然であったFC・SFCの時代からPS、PS2へと世代が変わり、家庭用ゲームではフル3Dポリゴンでゲーム開発するのが業界のスタンダートになっていた。そんな時代だったので、あえて味のあるレトロなドット絵を採用した洞窟物語は懐かしさや親しみやすさがあり、特にFC、SFCで育ったPCゲーマーたちを惹きつけた。
もちろん、見た目だけではなく、アクションを中心としながらも広大な洞窟内を自由に探索し、武器を強化しながらステージの謎を解き明かしていくという今ではメトロイドヴァニアと呼ばれるジャンルになった、メトロイド・悪魔城ドラキュラ(欧米ではキャッスルヴァニア)に準ずるゲームデザインや、選択や行動などによって変化するストーリーなどのこだわりを追求した細かな作りこみもあり、5年もの開発期間(うち正式リリース前の1年間は有志にテストプレイをしてもらいフィードバックを参考に改善していった)をつぎ込んだ個人開発としての完成度が高く、その結果として多くのファンを生んだのではないだろうか。
洞窟物語から取り入れられる要素
短い結論
画像
箇条書き(段落)場合による
文章
2Dドットグラフィックを採用する
2Dドットグラフィックを採用することで3Dグラフィックのように複雑なモデリングを必要とせず、比較的省リソースで開発することができる。また、最新のAAAタイトルと比べられやすい3Dグラフィックよりも、独自性をより表現しやすい2Dドットグラフィックでは、とくにこだわりをもって世界観を追求することで高評価につながるだろう。
主人公キャラクターが記憶喪失
例えば主人公キャラクターが記憶喪失になっていたり、現在の状況の経緯やバックグラウンドが一切語られないなど、情報がほぼ0からスタートする。そしてゲームを進めていくことでキャラクターや世界の謎が徐々に明らかになっていくというストーリーテリングは好奇心を刺激し、点と点が線でつながった時(伏線が回収された時)のいわば”アハ体験”が高評価につながるだろう。
RPG的な成長要素
アクションをメインとしながらも武器の収集や強化というRPGのような成長要素があり、攻撃方法や移動手段が増えることによって探索範囲やプレイングの幅を広げることができる。プレイヤーが自分の好きなスタイルを模索しながら攻略に挑戦できる自由度が高評価につながるだろう。
ストーリーの分岐・マルチエンド
プレイヤーの選択や行動によってストーリーが変動し、エンディングにも影響するというマルチシナリオ制は全てのシナリオを知りたい、異なる種類のエンディングをコンプリートしたいという欲求に訴え、またストーリーの奥深さを表現するのにも役立ち高評価につながるだろう。
挑戦しがいのある高難易度
簡単にはクリアできない高い難易度、いわゆる”ソウルライク”や”死にゲー”などと呼ばれるものを好むプレイヤーをターゲットにすることができる。高難易度といっても、プレイヤーの工夫の余地が入らないような理不尽な理由でクリアが難しいのではなく、高いプレイングスキルや思考、戦略を要求するものが好まれ、攻略できたプレイヤーが称賛される文化が醸成されることで高評価につながるだろう。
絶妙なバランス調整
キャラクターのレベル・パラメーターや装備などを段階的に強化していくことでゲームをクリアできるようにデザインされている場合、あえて初期レベルや初期装備でゲームクリアを目指すなどの “縛りプレイ” であっても、工夫次第でゲームをクリアできるような余地があると尚良い。その絶妙なバランス調整によってプレイングの幅が広がり、高評価につながるだろう。
テスターのフィードバック
例えばクローズドで小規模なテストプレイヤーを募り、フィードバックを得る。第三者の意見を参考にすることで新たな発想が生まれたり、実際のプレイヤーに近い率直な感想を聞くことができ、アイデアや改善策をうまく取り込むことで高評価につながるだろう。
洞窟物語のデータ(リリース日、DL数、推定売上など)
セールススコアの計算方法:
Steam版(2011年11月22日リリース)の総レビュー数 4,363件 に仮のレビュー率1%を掛け、その推定販売本数 437,300本 に販売金額 1,480円 を掛け、リリース日からデータ取得日までの日数 4,527日 で割り四捨五入したもの(データ取得日 2024年4月14日時点)。
情報の出典:
個人開発者の天谷大輔氏が「洞窟物語」で講演。北米からも賞賛されるゲームの開発ポイントを語る – GAME Watch – https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/431659.html
“開発ツールは、プログラムはVisual C++。ビジュアルはIDraw3というフリーソフトを使用。ステージ作成ツールは自作。BGM作成ツールとエンジンも自作した。天谷氏は「MIDIも避けて自分で作った。ファミコンみたいな音がすれば自分で作れると思ったので」という。同様に効果音ツールも自作している。”